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2020年8月 6日 (木)

『チボー家の人々』 全13巻 M・デユ・ガール  白水Uブックス

 13巻はやはり長大で、読み終えるのに3ヶ月かかった。1ヶ月に4冊、私としては遅いほうだ。ほかにも読んでいたけれど。
初めは「チボー家のジャック」という若者向けの簡略版もあることだから、ジャックが主人公なのかと思っていたが、読んでいるうちに兄のアントワーヌがよく描けているのに気づいた。ジャック15歳から25歳、アントワーヌ25歳から37歳までの、まさに青春物語なのである。その只中に第一次世界大戦が勃発する。
 動員令の出た日、弔鐘がパリの街に長く打ち鳴らされるところは、深い印象を残す。それを契機に平和主義者だったはずのインターナショナルのメンバーが、次々と愛国者に変容していく。ジャックは、動員に応じることは戦争に加担することだと思いつめ、孤立する。アントワーヌは自分の属する集団に対する責任感から、軍医として参戦する。
最終巻は1918年、戦争が終わった年で、アントワーヌは毒ガス傷病兵として、南仏の療養所にいる。回復の見込みがないのは、自分が医師だったので悟っている。迫る死を目前に、科学者、無神論者として、恒久平和を望みながら日記を綴るところで、物語は終わっている。
 原作が書かれたのは1939年、すでに第二次世界大戦が始まっていた。日本で全巻が翻訳刊行されたのは、1952年になってからである。私が最初に読んだのは1962年くらい、半世紀以上も昔だが、全然そんな気がしなかった。時が流れたという無常感はあったが、物語としても、翻訳の文体も古さを感じないものだった。コロナ禍の自粛生活で、得難い本を読めたと思っている。

Img_1519
(わが家に咲いたユリ。まだ雨が降っていた時期のものです。13巻並べた写真が撮れずにいます)

 

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コメント

感想をお聞きすると魅力を感じますが、それだけの長編を読み通す自信がなく残念です。コロナ禍は酷い試練ですが、有意義に活用しておられますね。

いつもありがとうございます。
新書が13冊、それぞれ話が一段落しているので、思ったより楽でした。字の大きさもまあまあ。何より面白かったです。

東京は感染者が多くて、出かけられません。幸い通院も8月はお休み。何か楽しい本があったら、ぜひ教えてください。

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