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2018年2月 2日 (金)

『兼好法師』  小川剛生  中公新書

 副題は「徒然草に記されなかった真実」。帯には「今から五百年前、“吉田兼好”は捏造された」とある。
 兼好は卜部の人ではあったようで、若いころに「うらべかねよし」として家族の書いた手紙に出てくるそうだが、吉田の人ではなく、また蔵人として朝廷に仕えたわけでもなかったらしい。むしろ無位無官のまま、自分の才能だけで、内裏や貴族の邸に出入りし、中世の乱世を生き抜いたところに、大きな魅力があったと考えたほうがいいようだ。彼の才能は和歌だけでなく、経済面にもあったらしくて、都に複数の不動産を所有し、緻密な契約書などが残っているそうである。実家にも地位はともかく、経済力があったのは確かだとか。鴨長明より生活に追われていなかった? うらぶれた遁世者のイメージとは、かなり違う兼好像が浮かび上がる。

 徒然草は学校で必ず、原文のまま習う。文部省の指導要領で決まっているらしい。わかりにくい文章にうんざりして、古文嫌いになる元凶になっているかも。いっそ現代文で、当時の社会構造、公家や武士の暮らしなども紹介しながら、兼好のアイロニーに充ちた随筆を読んだほうが、よっぽどおもしろいのではないかと思う。

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(左は同じ著者の現代文訳つき「徒然草」(角川ソフィア文庫)で、500ページもあります。高校のとき、これがあったらよかったのに。もっとも著者は1971年生まれで、私はその前に卒業してしまっていますが・・・)

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コメント

確か、好もしき友の一番に「ものくるる人」をあげていましたね。経済的な才知に長けたとすればイメージとして納得できます。

なかなかしたたかな人だったのかも。
当時の京都は、内裏の周辺も荒れていたそうです。

今の日本は中世に戻りつつあるとか。
日本だけではないようですが。
中世を扱った歴史の本には、おもしろいものがたくさんあるようです。

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