最近のトラックバック

« メジロ | トップページ | 大寒のシクラメン »

2018年1月19日 (金)

『藤沢周平 遺された手帳』  遠藤展子  文藝春秋

 著者は藤沢の一人娘で、表紙の題字はその一人息子、つまり藤沢の孫が筆で書いている。著者の生まれた昭和38(1959)年から、練馬区大泉学園に引っ越す昭和51(1976)年までの13年間、藤沢が書き残した4冊の手帳が原資料で、昭和48年に直木賞を受賞し、翌年49年に専業作家となる間の日々を、娘の解説で知ることができ、作家誕生秘話という趣がある。

 自分の作品に辛口だった周平だが、ときにはこんなことも。

〈…人間の不可解さのようなものに触れていて、それが無理に割り切ろうとしていないとこがいいのかもしれない

 その通り。今でも読まれるのは、時代小説として、筋がおもしろいからだけではないのだ。藤沢は70歳になる前に亡くなっているが、老年についても40代からすでに、強く意識する人だった。

豊穣で静かな青春の風景というもの。それは当時はみえず老年になって、はじめてみえてくるものだ

 そして62歳のとき、ある雑誌のインタビューに、こう答えている。

格好よく年をとりたいとかは全然思わなくて、年をとるごとに非常に醜くなっていく、それで結構だと思っています

 年をとって、自分の人生と折り合いをつけるのは難しい。93歳の母のいる老人ホームを訪れるたびに、そう思う。せめて自分の老年を、ひたすら嘆くのではなく、そこそこ受け入れて、ときには友と笑い合いたいものだ。

Img_0461_2

« メジロ | トップページ | 大寒のシクラメン »

読書メモ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/548051/66299046

この記事へのトラックバック一覧です: 『藤沢周平 遺された手帳』  遠藤展子  文藝春秋:

« メジロ | トップページ | 大寒のシクラメン »

2018年6月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
無料ブログはココログ