最近のトラックバック

« 『火山で読み解く古事記の謎』  蒲池明弘  文春新書 | トップページ | 紫陽花 »

2017年6月 2日 (金)

『古事記を読みなおす』  三浦佑之  ちくま新書

古事記の続きで、これはバリバリの古事記学者の手になる本。八岐大蛇は出雲を流れる斐伊川になっている。こうした本を読むのは実は初めてに近く、知らないことが多く出てきて、それだけでも興味深かった。
 出雲神話は、どうして古事記にあって、日本書紀にないのだろうというのが、私の最初の素朴な疑問である。私はどうも出雲系の人々の末裔らしいので、気になるのである。

・・・国譲り神話から読めてくるのは、古層として存在した日本海文化圏の崩壊という出来事です。天皇家を中心としたヤマト王権が介入することによって、日本列島に存在したさまざまな交流や交易は、ヤマトを中心とする秩序化された関係に置き換えられていきました

 そうだったのかと深い感慨に浸った。出雲は当時、ヤマトに対抗する最大の勢力であったらしいことは、日本史オンチの私でも知っている。
 また、文学書としての古事記の成立については、

音声によって語られる叙事詩を成長させる前に、外から文字が渡ってきて散文文学が成立してしまった。そのために、芽生えかけた叙事詩は書かれる歴史へと方向を変えてゆく。それが、古事記のような作品を編み出す理由であったのかもしれません

 この後、最終章で、有名な太安万侶の序とは何だったのか、古事記の本当の著者(書き手)は誰だったのか、ダイナミックな推論と提案があり、最後までドキドキする本だった。

R0061499
(著者は古代文学研究者で、歴史学者ではありません。私が楽しく読めたのはそのせいかも。でも古事記は日本書紀と並んで、戦前は「国体」を支える本でした。著者はもちろんそれを無視しているわけではなく、視野の広い古代史像を描いていると思います)

« 『火山で読み解く古事記の謎』  蒲池明弘  文春新書 | トップページ | 紫陽花 »

読書メモ」カテゴリの記事

コメント

古代出雲への関心は並々ならぬものがあって過去に二回も出かけていきました。四隅突出型墳丘墓という特異な墳墓や大量の鉄剣・銅鐸などの出土という不思議はなにを読んでもすっきりしません。梅原猛さんが「葬られた王朝」という本を書いていますが、ヤマト王権と対峙する権力があったのではないかと想像するばかりです。この本は未読ですが、面白そうですね。いずれ読んでみたいと思います。

とてもいい本だと思います。著者の古事記への愛情が伝わってきます。
何よりも古事記は、律令国家が生み出した歴史書ではないというのが、
著者のいちばん言いたかったことなのではないでしょうか。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/548051/65360108

この記事へのトラックバック一覧です: 『古事記を読みなおす』  三浦佑之  ちくま新書:

« 『火山で読み解く古事記の謎』  蒲池明弘  文春新書 | トップページ | 紫陽花 »

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
無料ブログはココログ