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2016年12月30日 (金)

年末年始の2冊

 『新編 洛中生息』(杉本秀太郎・ちくま文庫)は何となく手にした本で、あまりきれいでない中古だったが、読み始めたら無類におもしろかった。杉本氏は2年ほど前に亡くなってしまったが、京都の「杉本家住宅」の当主だった人である。町屋の暮らしをユーモアたっぷりに、しかも滋味あふれる文章で書いた、エッセーの名品として名高いものだ。

近ごろ、私の季感は鵯によって明確にされる。この鳥に対する嫌悪を介して、私の季感が形を帯びるのである

 今から40年ほど前に書かれた文章。当時からすでに京都の町は荒廃していて、鵯(ヒヨドリ)のような卑しげな野鳥が、町屋の庭にまでやってきて、花や実を食い荒らすと、杉本氏は憤慨しているのである。鵯はうちにもよく来て騒ぐ鳥なので、おかしくて笑ってしまった。この一文は初冬を描いたもの。私はこうした地味で古めかしい文章が好きだ。この人のものをもう少し探して、読んでみようと思った。ちなみに本業はフランス文学者。

 もう一冊の『俳句と暮らす』(小川軽舟・中公新書)は新刊で、この著者は私の古文書解読の先生の、俳句の師匠である。帯に「平凡な日常が、かけがえのない記憶になる」とある。紹介されている下の一句は、阪神淡路大震災のときのもの。

寒暁や神の一撃もて明くる〉 和田悟朗

 平凡で穏やかな日々を過ごしたいものだ。

P1050742
(皆様、お元気で良い年をお迎えください。来年もどうかよろしく)

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コメント

小川軽舟さんの本は私も読んでみようと思います。

小川軽舟さんは1961年生まれ、大きな結社の主宰としては、
とてもお若いのだと、古文書の先生は言っていました。
私もこれからゆっくり読みます。

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