最近のトラックバック

« 梅雨の晴れ間 | トップページ | 白いアジサイ »

2016年6月13日 (月)

『乾隆帝 その政治の図像学』  中野美代子 文春新書

 以前に読んだ同じ著者の小説『カスティリオーネの庭』がおもしろかったので、その歴史版も読んでみることにした。乾隆帝は長い中国の王朝を通して、稀代の名君と言われた清の皇帝である。満族の出身で大民族の漢族を支配するために、軍事・政治はもちろん文化も総動員した。乾隆帝時代の絵画や工芸品は、故宮博物院の至宝ばかりで、図録などの写真を見るだけで、ドキドキしてしてしまう。
 乾隆帝は新しもの好きで好奇心旺盛だった。中華万歳で排外的になることは、なかったらしい。西洋ふう油絵だの噴水だの西洋館だのも、さかんにつくらせ、その中に中華意識を潜ませたりした。キリスト教宣教師も宮廷では厚遇している。その一人がカスティリオーネである。彼らは本業の宣教をする暇もなく、皇帝のためにせっせと注文の品をつくるのに追われて、清国でその一生を終えた。
 乾隆帝の底知れぬエネルギーに惹きつけられる。そういえば今の中国は、乾隆帝のころの領土を回復しようとしているのだと、どこかで聞いたことがある。たしかに当時(18世紀)は中国史最大の版図を誇り、北はモンゴル高原、南はベトナム・ミャンマー、東は朝鮮半島、西はパミール高原に及んでいる。ただし乾隆帝は、日本にはほとんど関心がなかったらしい。
 
P1050671
(中野美代子さんは読みやすい文章を書く方で、これも楽しく読めました。中央アジアを扱った本もあるので、そのうちそれも読んでみたいと思っています)
 

« 梅雨の晴れ間 | トップページ | 白いアジサイ »

読書メモ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/548051/63772337

この記事へのトラックバック一覧です: 『乾隆帝 その政治の図像学』  中野美代子 文春新書:

« 梅雨の晴れ間 | トップページ | 白いアジサイ »

2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ