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2016年3月25日 (金)

『正岡子規──言葉と生きる』 坪内稔典 岩波新書

 実はこの本の前に、『ノボさん──小説 正岡子規と夏目漱石』(伊集院静)を読んだ。でも有名な作家のそれよりも、私には坪内氏のこの新書のほうが、ずっと印象深くおもしろかった。子規は遠い遠い昔、高校の国語の自由研究になぜか選んで、少し読んだのが縁の始まりである。
 坪内氏のこの本は評伝で、章の初めに子規のそのときの文章が数行、それからその当時が、いろいろな文章を使って語られるという形式である。時代とともに、子規の文章がのびのびした口語になっていくのが、私にはとても印象深い。子規の生きた時代は、一葉のそれとかなり重なっている。

・・・自分の感情は、他者に共有されないと、単なる独善に終わる。個人の感情に他者への通路を開くこと。それが俳句や短歌、そして写生文で子規が求めたことだった

 子規は脊椎カリエスで、明治35(1902)年、34歳で死んだ。20代の終わりからは、ほぼ外出ができないまま、上記のようなことを考えていたと、坪内氏は紹介する。晩年の「墨汁一滴」「仰臥漫録」「病床六尺」などは、今でも病む人や介護する人の心に強く響く作品である。
 坪内氏は20代の終わりに、パチンコの帰りに古本屋で、「子規全集」を衝動買いしたそうである。それが彼の後の人生を決めた。全集類は今、古本屋でも冷遇され、極端に安い。買い時かもしれない。

P3240065
わが家には、子規は文庫数冊と、「明治文学全集」1冊だけです。これからなら青空文庫ですね

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コメント

考察拝読いたしました。次の一文は確かに印象的です。
〈・・・自分の感情は、他者に共有されないと、単なる独善に終わる。個人の感情に他者への通路を開くこと。それが俳句や短歌、そして写生文で子規が求めたことだった〉
SNSが人気があるのも、同じことと思います。
本日はレッスンにお出ましくださりありがとうございました。お会いできまして、とても嬉しかったです。

コメント、ありがとうございます。
引用は坪内さんの文章なのですが、子規は生涯、病気と闘いながら、
社会性を失わない人でした。

SNSも社会への通路ですよね。それだけにセキュリティが大事だと思います。
その辺をどうぞよろしく、ご指導ください。
ネットに怯える高齢者は、意外と多いのです。

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