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2016年2月27日 (土)

『私小説』  水村美苗 ちくま文庫

 本邦初の横書き、バイリンガル小説なのだそうである。なるほど、副題に「from left to right」とある。大雪の降るクリスマスも近いニューヨーク、日本人の姉妹が長い電話を交わす一日を、章立てもなく書いたもので、会話や述懐は日本語と英語が脈略なく入れ替わり、英語部分に日本語訳は全くついていない。
 姉妹は10代からアメリカに暮らして20年を過ぎ、姉は売れない現代彫刻家、妹は大学院でフランス文学を専攻し、博士課程修了の口頭試問を終えたら日本に帰り、学者ではなく小説家、それも日本語で書く作家になりたいと望んでいる。日本人のままアメリカで生きる厳しさ、孤独が切々と伝わってきて、読んでいて辛いほどである。
 水村美苗は「続明暗」で作家として認められたが、どうして漱石だったのか、この本を読むととても納得できるような気がした。また後の『日本語が亡びるとき』にもつながる深いテーマを共有している作である。

P1050528

P1050527
(英語部分はそんなに難しくなく、私の半世紀前の受験勉強の残滓でも、かろうじて読めます。ただし読解だからであって、会話だったら何もわからないでしょう)





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