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2015年6月29日 (月)

『生きて帰ってきた男』  小熊英二 岩波新書

 副題は「ある日本兵の戦争と戦後」。ナショナリズムについて著書の多い小熊英二の、父親に聞き取りして書かれた本で、父親がシベリア抑留者であったことを初めて知った。この父は1925年生まれ、私の母と1歳違いで、先日亡くなった母の年子の弟、つまり叔父と同い年である。それだけで読まなければならないと感じてしまう。私たちは親が戦争に巻き込まれた最後の世代なのかもしれない。
 小熊謙二氏は19歳で応召、何の戦闘もないまま、そのままシベリアに連れて行かれ、家族の元に返れたのは4年後だった。一兵卒で士官ではなかったが、所属したのが終戦間際のドサクサ編成部隊で、そのまま収容所に入り軍隊内の階級制度が作用せず、それが生きて帰れた大きな理由だろうと、本人は回想している。冷静に淡々と当時をふり返る姿は、強い印象を残す。

自分が戦争を支持したという自覚もないし、反対したという自覚もない。なんとなく流されていた。大戦果が上がっているというわりには、だんだん形勢が悪くなっているので、何かおかしいとは思った。しかしそれ以上に深く考えるという習慣もなかったし、そのための材料もなかった。俺たち一般人は、みんなそんなものだったと思う

P1050177
(実はまだ途中なのです。たいへん読みやすく、周辺事情の社会制度の説明もあります。抑留の話だけではなく、戦後の苦しかった暮らしも語られ、これもたいへんおもしろい。最終章ではお父様は、国を相手取った戦後保障裁判に、関わられた様子です)

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