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2014年11月29日 (土)

『蛍の航跡』 帚木蓬生 新潮文庫

 副題の「軍医たちの黙示録」がすべてを語っている。前作の『蠅の帝国』の続編で、太平洋戦争下の軍医を描き、日本医療小説大賞を受賞した。前作が日本とその近辺を舞台にしているのに対し、こちらは南太平洋やシベリアなどが多い。
 著者はこの2冊を「ライフ・ワーク」と言っている。軍医たちの書き残したものを含む大量の資料にあたり、小説に仕立てたものだろう。ことさら反戦をうたったものではなく、筆はむしろ抑え気味で、淡々とさえしている。その中から、軍隊の理不尽な構造や戦争のむなしさが、強く伝わってくるのだ。
 軍医というのは原則、将校だったのだというのがよくわかった。そんなわけでこの戦記は、将校目線である。そこが古山高麗雄『二十三の戦争短編小説』と違うところかもしれない。

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(私の母方のおじ3人は大正生まれで、みんな戦争に行き、何とか無事に帰ってきました。しかし戦争の重い記憶は生涯、おじたちを悩ませていたように思います。おじは3人ともおそらく下級将校でした。戦後しばらくして帰国、生まれたばかりの私を、とてもかわいがってくれました。戦争関係の本に手が伸びるのは、このおじたちの記憶のためだと思います。忘れるわけにはいかないような気がするのです)


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