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2013年3月16日 (土)

『加藤楸邨句集』 森澄雄・矢島房利編 岩波文庫

 楸邨の句は、遠い昔の高校生のころ、〈鮟鱇の骨まで凍ててぶちきらる〉というのを習って、びっくりしたことがある。有名な句は数多いけれど、ここでは中国・シルクロードの紀行句から紹介したい。楸邨は何回も旅していて、最初は昭和19年秋、39歳の時。日中戦争の最中だった。

北京
遂に来しこの片蔭や紫禁城

ゴビ沙漠
目のかぎり紫けぶり飛燕草

山西省
蕎麦咲くや長城に果てし卒幾万

蘇州
はからずも雨の蘇州の新豆腐

南京に逢ひし人、遺書を我に託して漢江に去る
書を遺し月明の江を遡る

松花江
青枯や江に全き天垂るる

 戦争の影がほとんどなく、まして戦争賛美などは全く関係ない。戦後は昭和47年と49年に中央アジアに旅行。季語が働かない異国の地に行くということで、周到な準備をしたと「解説」にあった。

アルマ・アタ
炎日やどこかきらりと沙漠の目

タシケント
瓜の前物持ちかへぬ値切るらし

タシケント日本人抑留者の墓
青胡桃青の一途や死者の道

アフラシアブ
一塊の灼け石チムールが過ぎ猫が過ぐ

カブール
青豆を売る手乾きぬしやりしやりと

カナート
噴井あり沙漠に雪嶺もりあがり

 文庫で500ページを超える句集。絶版になった朝日文庫の「現代俳句の世界」シリーズが、自選であったことから参考にして編まれたらしい。このシリーズ、神田の古本店などにはあるのだが、どれも悲しいほど汚くなっている。復刊されるといいなあと思います。

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