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2013年2月 1日 (金)

『樋口一葉考』 中村稔 青土社

 一葉は私が唯一、ずっと読んできた作家である。主な研究書はだいたい知っているが、この本ほど刺激的でおもしろいものはなかった。

たとえば「たけくらべ」は、
すぐれた恋愛小説にちがいないとしても、それ以上に社会小説であり、女性差別批判、社会批判の小説であると思われる

にごりえ」は、
やるせない男女の宿命を描いた作である

大つごもり」は、
貧富の格差社会に対する告発の書である

といった具合。痛快ではないか! 私が感じたことを書いてくれている。
 著者は2011年春に駒場の日本近代文学館で開かれた一葉展で、監修を務められたとか。その際に一葉研究文献を読まれて、自分の感想とあまりにも違うのに驚いたのが、この本を編まれたきっかけだったそうである。この展示会、とても行きたかったが、足の手術直後で諦めた。今でも無念です。

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一葉は明治半ばの時代に、一家を背負った戸主として、文筆で家族を養おうとした女性で、一見優雅な擬古文の後ろにある一葉の、明治社会を見る目はかなり辛辣です。また小学校卒、表向きには和歌・古典の教養しか身につけていないなかったのに、最晩年〈といっても24歳〉には「文学界」の気鋭の青年たちに取り囲まれた、サロンの女主人であったのも知られています

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