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2012年2月21日 (火)

『舟を編む』  三浦しをん 光文社

 「大渡海」という辞書を作る物語。よく売れているらしい。出版界内幕ものとしての、おもしろさもあるかも。

俺たちは舟を編んだ。太古から未来へと綿々とつながるひとの魂を乗せ、豊穣なる言葉の大海をゆく舟を

 若いころ、事典の編集者だった。辞書とは違うが、ここに語られている編集作業のほとんどを、五校も含めて経験している(単行本では再校で終わるのが普通)。執筆要項を持って、原稿依頼に大学を歩き回った。編集部は大所帯だったから、小説のようにやる気のある人ばかりではなかったし、私自身も漫然と働いていたような気がする。これを読んでいると、懐かしいというより、どうしてもっとできなかったのだろうと、悔恨の念にかられてしまう・・・。

 〈(言葉という落雷があってはじめて、すべては生まれてくる。愛も心も。言葉によって象られ、昏い海から浮かびあがってくる

 歳をとるにつれて、言葉がすべてだとは思えなくなってきた。でも、若かったときより今のほうが、辞書をよく引く。不思議に思うことは、むしろ増えているような気がする。

R0010803
(私が携わった事典は、今では電子辞書に収まっています。広辞苑もそうですよね。紙の辞書・辞典・事典の時代では、なくなりつつあるようですが、できるまでの作業は変わらないことでしょう)

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コメント

私も面白く読みました。この本の装丁も珍しかったです。
そうでしたね。こはるさんにはいろいろな想いが
浮かんだのでしょうね。
5校までやってもなおかつ漏れがある。
岩波国語辞典2版で、ごびゅう[説謬] というミスがあり回収されましたが
私は大切にとってあります。ここでまちがうなんて神のいたずらとしか
思えません。でも担当したかたがのことを思うとたまりません。

 

何校取っても、見落としがあるものです・・・。
「め」が「ぬ」になっているのを、執筆した方に見つけられたことがあります。
リタイアしたよかったかも♪

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