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2011年12月30日 (金)

『都市を生きぬくための狡知』  小川さやか 世界思想社

  旅行記や民族誌が好きだ。「どこか遠くに行きたい」という気持ちが、いまだにあるからなのだろうか? 川田順造のアフリカの話、原ひろ子の極北のインディアンの話、レヴィ=ストロースのブラジル、片倉もとこのアラビアなど、いろいろ読んできた(ちょっと古いが、ご容赦を)。今度はアフリカのタンザニアだ。
 副題は「タンザニアの零細商人マチンガの民族誌」。著者は大阪・民博の若い女性研究員である。マチンガというのは行商人のことで、著者は実際にこのマチンガになり、古着を行商して、その商習慣、人間関係を調査し、研究論文としてこの本を書いて、2011年度のサントリー学芸大賞を受賞した。現地で「マチンガール」と呼ばれ、たいへん有名になったそうで、そのバイタリティーには驚かされる。
 論文の形式になっているけれど、それに慣れてしまえば、とてもおもしろく読むことができる。経済学のことは全くわからないのだが、先進国の資本主義経済と、一見かけ離れているようなタンザニアの古着マーケットは、仲買と小売り間の信頼感のなさや人の流動性などが、今の世界市場にそっくりなようにも感じられる。もしそうなら、この本に描かれるウジャンジャ(狡知)なやり方には、庶民が今を生き抜く大きなヒントがあると、言えるのかもしれない。帯には「うまく騙し、うまく騙されることができる人間こそ仲間なのだ」とある。

R0010533
(若い研究者の活躍を、うらやましく感じました。こんな勉強もしたかったなあ。年内最後のアップになりそうです。1年間、ここに来てくださった方々に、心から感謝いたします。皆様どうか、よいお年をお迎えくださいますように。  こはる)

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