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2011年7月27日 (水)

『ウィットゲンシュタイン家の人びと──闘う家族』 A・ウォー著 塩原通緒訳 中央公論新社

 ラヴェルに『左手のための協奏曲』を依頼したパウルと、哲学者ルートウィヒの2人に、ほんの少し興味があれば、最後までおもしろく読める本だと思う。著者が音楽の専門家ということもあって、左手のピアニスト・パウルの記述のほうが多い。
 20世紀の初め、ウィーンの鉄鋼王カール・ウィトゲンシュタインには、8人の子供がいた(もう1人いたが夭折)。彼はその誰かに事業の後を継いでほしかったのだが、誰も実業に向いていない。8人が8人とも強烈な個性の持ち主で、日本流に言えば「橋の下から拾ってきた」のかと思うほど、父親に似ていなかった。あまりに富裕だったので、8人とも近所の子と遊ぶことなく成長し、大人になってからは兄弟姉妹の間でも、トラブル多発に苦労する。

僕らはみな固くて縁の鋭い角材のようなものだから、一緒に心地よく収まることができないのです。〉(ルートウィヒ・ウィットゲンシュタインが姉に宛てた手紙)

  20世紀前半のウィーンを主な舞台に、この厄介で愛すべき兄弟姉妹の活躍と苦闘を描いたドキュメントで、訳文がこなれていてとても読みやすい。後半のナチスのオーストリア併合の後、ウィトゲンシュタイン家はユダヤ系ということで、さまざまな苦難に遭う。オーストリア国内にナチに協力する勢力が、かなりあったこともよくわかる。結局、ルートウィヒはイギリスで、パウルはアメリカで亡くなっている。

P1020163_3
(時代によっては、平凡に生きること自体が難しいのでしょう・・・)

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