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2011年4月24日 (日)

『私語り 樋口一葉』  西川祐子 岩波現代文庫

 学生時代、もう40年も前のことだが、一葉日記の一部を国語学の教材として、品詞分解ばかりさせられたことがある。一葉自身の魅力に気づいたのは、それからずいぶんたってからだった。
 これはたぶん、いちばん新しい一葉本。ただし書き下ろしではなく、標題になった前半部分は、単行本として94年に刊行されていて、読んだ記憶がある。死に臨んだ一葉が自分の生涯を語るという趣向は、新鮮ではあったけれど少々息苦しかった。
 今回、この文庫版でおもしろかったのは、後半の「一葉日記──伝統と近代性、現代性」というエッセー。

〈日本の伝統的な日記の多くは家の日記であって、家人あるいは子孫に残す記録、ときには他家の人々にまで読まれることが予定されていた文章であった〉

 それなのに日記には、樋口家を訪れた人の悪口も多く書かれていて、刊行のときには鴎外が反対し、露伴は賛成したと聞いたような気がする。日記は時期によって文体の変化が大きいというのも、学生時代に教えられたような・・・。一葉が相手によって態度を変える人であったというのは、当時からも言われていたらしいが、そこにこそ現代性があるという著者の指摘は、とても新鮮に感じた。研究されつくしたと言われる一葉だが、これからも新たな視点で、おもしろい本が出るかもしれない。

P1010801_2 
(何の目的もなく、一葉関係の本だけは、ずっと読んできたような気がします)

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コメント

むかし、ラジオで大学受験ラジオ講座という番組がありました。国文学者の塩田良平さんが現代文の担当をしておられて、樋口一葉を取り上げました。原文を読み上げる先生の声にうっとりと聞き惚れていました。そのときに一番印象に残っているのは「返せるくらいなら借金などするものか」という一葉の言葉でした。塩田先生が共感をこめて、「お金を貸す人は返済されることをあてにしてはいけない」と共感をこめて語っていたことでした。後年、友人にお金を貸したとき、一葉のことばが頭にあって、返ってはこないだろうなと思いました。案の定30年たったいまだに返ってはきません(笑)
一葉というと借金のことと、塩田良平先生のお声を想い出します。

それなのに、一葉は5000円札の顔に。いや、それだからこそ、なんでしょうか? 

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