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2011年3月23日 (水)

『寡黙なる巨人』 多田富雄 集英社文庫

 ある日の発病・事故を境に、生活が大きく変わってしまうことがある。免疫学者として有名な多田富雄氏は2001年、脳梗塞に襲われ右半身不随、口からの飲食、発話が困難になった。リハビリを重ねたが、かつての日々はもう帰ってこない。新しい日々を、新しい分身「寡黙な巨人」とともに生きる。こうしてこの本が、動く左手の指だけで、発病以降に覚えたワープロを使い、書かれた。
 表現手段を得た著者は、旺盛な執筆活動を再開する。まずは自身のリハビリについて。2006年の診療報酬改定で、障害者のリハが発症後180日を上限とする決定がなされたことに、著者が反対して論陣を張ったのは、よく知られている。

〈リハビリは単なる機能回復ではない。社会復帰を含めた、人間の尊厳の回復である〉

 多田富雄氏は詩人でもあった。中原中也を語った章では、

〈それにしても「在りし日」とは誰の在りし日なのであろうか〉
〈死者の目が、生きた中原に、すでに芽生えていたのではないか〉

 著者自身の死に近づいた体験が、この言葉を生んだように思う。能の話も心を打つ。晩年の白洲正子さんの、よき友人だったのは、有名な話。
 さてさて、私もあそこが痛い、ここが動かないとばかり、言っていられないと反省してしまった。

P1020029
(著者は2010年4月、亡くなられている。リハビリ関係で出てくる病院は、金沢医大病院・都立駒込病院・都リハビリテーション病院。都立大塚病院と東大病院も少しだけ記述あり

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