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2011年3月 5日 (土)

図書室と藤沢周平

 病院には図書室があった。リハビリ・ルームの隣だったので、杖をついて歩けるようになって、すぐに行ってみた。幸いなことに(?)病気の本はわずかで、マンガと文庫本が大半、ほぼすべてが寄贈本らしい。
 藤沢周平の文庫本ばかり、5~6冊借りて読んだ。体調を考え、初期の暗い雰囲気のものはできるだけ避けて、ほのかなユーモアを楽しめ、以前に読んだことがあってもかまわないことにした。『用心棒日月抄』シリーズとか、『よろずや平四郎活人剣』、『麦屋町昼下がり』などなど。なかでも『三屋清左衛門残日録』は心にしみた。隠居となった清左衛門の日記を元にした物語で、清左衛門が「残日録」と墨書した帳面の表紙を見た嫁は、もう少し明るい題にしてくださってもよかったのに・・・とつぶやくが、本人は「日残りて昏るるに未だ遠し」のことだと意気軒昂、しかし心中に忍び寄る老いの寂寥感を追い払うことはできない。闊達な隠居したての男の活躍を、山際に残る夕空の明るさのように描いているのを読み、しみじみとしてしまった。これからも、藤沢周平の名を見るたびに、あの大病院の片隅にあった小さな図書室を、きっと思い出すに違いないと思う。

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コメント

清左衛門の「残日録」は、かの筑紫哲也さんも感銘を受けて、ご自分の日記のタイトルにもされてました。
私はまだよんでいないのですが、必読書のようですね。
どうか、ココロもカラダもお大切になさってください。

いい文章がどんなにココロとカラダの栄養になるか、シミジミ感じてしまいましたよ。

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