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2010年11月 1日 (月)

『警視庁草紙』上・下  山田風太郎 角川文庫

 この8月に刊行されたばかり。文庫になるのは3回目以上なのではないだろうか。本屋で横目で見た記憶が何回もある。今回ついに買って読み、しばらく楽しい時を過ごした。明治の最初期、西郷隆盛が下野するところから始まり、西南戦争勃発で終わる、ミステリー仕立ての長編小説である。薩摩出身の司法省大警視・川路利良と、元江戸南町奉行・駒井相模野守と元同心・千羽兵四郎が、さまざまな事件をめぐって対立、時代の大きな流れを複眼で描いて、文庫1000ページを飽きさせない。とくに「負け組」の佐幕派に注ぐ優しい視線。山田風太郎は、たしかどこかで、「どうしても傍流に惹かれる」という意味のことを書いておられた。

〈駒井〉 「川路さん、しかしな、権謀によってそういう間に合いの国を作っても、(中略)いっておくが、そりゃ長い目で見て、やっぱりいつの日か、必ず日本にとりかえしのつかぬ大不幸をもたらしますぞ。そのことをあんたは──いや大久保さん(大久保利通のこと)は、よく御承知になっておるのかな?」
〈川路〉 「国家とは、いつでもそういうものではごわせんか?」

 生き生きしたすばらしい文章で、昨今のベストセラー時代小説とは雲泥の差、読み終えた後の満足感が全く違う。松井今朝子の『銀座開化おもかげ草紙』シリーズもよかったけれど・・・。

P1010100

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