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2009年12月 2日 (水)

『めくらやなぎと眠る女』 村上春樹・著 新潮社

 ニューヨークKnopf社から出たものと同じ内容・装丁の自選短編集です。

 同世代の友人たちに、村上春樹が好きだというと、怪訝な顔をされることが多いですね。たぶん若者向きの作家で、甘い恋愛小説ばかり書くという偏見があるのでしょう。でも団塊の世代にとって村上は、まさに同世代です。この短編集を広げると、あの60年代末のにおいが強く漂ってきます。なにしろ「我らの時代のフォークロア──高度資本主義前史」なんていう題のまで、収録されているくらいですから。もう少し我が世代に読まれていい作家のように感じます。
 短編24作のほとんどがすでに刊行されたものです。ハルキストというほどではない私は、本の題になっている「めくらやなぎと、眠る女」が、耳の障害を題材の一部にしているのを、完全に忘れていました。耳からめくらやなぎに付く虫が入り込み、女を眠らせる。そして脳にも入り込み・・・、不思議で不可解な物語。現実が壊れていくような感じや無常感。でもそれだけではないような気がします。あのエルサレム賞受賞スピーチ、「高くて、固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私は常に卵側に立つ」(ネット上の翻訳から引用)とどこかでつながるものが、かすかに聞こえてきます。たぶん村上は、韜晦に非常に優れた作家なのでしょう。
 最後に本当の蛇足。ほぼ同世代のある文芸評論家が、「村上春樹の小説に出てくる女性は生意気で好かない」という意味のことを、どこかで発言していました。そんな気弱なことで、大丈夫かね? 

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