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2009年10月27日 (火)

『われよりほかに─谷崎潤一郎最後の十二年』 伊吹和子・著 講談社

少し前に読んだ文豪の物語です。

 文豪・谷崎潤一郎の口述筆記者として、その最後の12年をともにした筆者の回想記。かなりの長編大作で四六判・500ページを超えます。第1章の最初が「おめもじ」とあるように、いまや古典的とも言える言葉遣いで語られる精妙な記述は、思わず引き込まれる魅力があります。おもしろいです、かなり。
 当たり前ですが、小説も思いつきだけで書けるものではなく、谷崎が新しい小説の主人公の職業・所在地・時期などを、筆者などを使ってかなり綿密に調べたことがよくわかります。またその暮らし方も超個性的、知られているように松子夫人の姉妹との縁が深く、まさに『細雪』さながらの毎日であったらしい。筆者との仕事も、我が儘と気まぐれのし放題、さぞ大変だったろうなあ。文芸物の編集者なんぞ、するものではない・・・?
 凡人から見れば谷崎はかなり「変」な人と言えると思いますが、その谷崎をここまで綿密に描く著者も、なかなかなのではないでしょうか。本の題は、谷崎の和歌〈我といふ人の心はたゞひとりわれよりほかに知る人はなし〉から取られています。ここに谷崎の晩年を知る人は「われよりほかに」ないという筆者の自負を、かすかに感じてしまうのは、私だけでしょうか。

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